つくばが多いのではなくて水戸が少ない
現在定数33人いるつくば市議会が、更に5人削減するとかで今議論になっているそうだ。その際引き合いが出しているのは水戸市議会が先んじて定数削減をして28人になっているとか言うことで、だから多過ぎ・・・って論調らしい。
だが、そうなんだろうか?人口規模がほぼ同規模の特例市で仮に比較してみた(人口は2010年4月の推計値。Wikipediaから)。
市名 | 人口 | 議員定数 | 議員1人あたり 人口 |
---|---|---|---|
つくば市 | 212,369 | 33 | 6,435 |
水戸市 | 265,424 | 28 | 9,479 |
太田市 | 213,942 | 38 | 5,630 |
草加市 | 240,777 | 30 | 8,025 |
春日部市 | 236,071 | 32 | 7,377 |
熊谷市 | 203,089 | 36 | 5,641 |
・・・と見てみると、大体において人口5,500~7,000強のとこで市議会議員1人ってのが"普通"で、つくば市が多いってのは到底言えない。それどころか人口9,000人以上で議員1人という水戸市の少なさが、むしろ異様な気がしてしまう。
黒川滋氏がいみじくも指摘していたが、市町村議会だと建前とは裏腹に個人的な人脈だけで選挙するのが殆どで、それこそ地域的な利害とか限られた政策課題とかってのが有権者にとっての投票動機だったりし、そうした関心や利害の無い方々にとっては投票する意味が無い。ただでさえ「平成の大合併」でスケールが大きくなり、広い自治体の中での利害調整が複雑になる中で、30人を下回る議会でそれが可能だとは考え難い。その前の候補者擁立とか、場合によっては議会を通り越して区長を通じてとか直接首長に彼是工作するとか、インフォーマルな形で決まってしまう危うさが否めない。無論、政策中心の選挙や議会にならないって批判はそれ自体首肯し得るものだけど、それは議員定数の削減とは別のレイヤーの例えば選挙制度とか選挙運動の制限とかの問題だ。
これまた黒川氏の受け売りになるけど、現実には定数削減の結果地域ボスとか(あまり使いたくないけど)"プロ市民"が幅を利かせて、小さな議会で活性化どころか少数寡頭制になっている感があるのだが。ましてや議会以外にも執行部と区や自治会・町内会が、公式/非公式で馴れ合っていて且つ遣り取りとかも議会ほど公開されていない。この際ながら、議員定数のバーゲンセールで何かが良くなると思うのは考え直した方が宜しいのでは?
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