茨城空港

2010/03/24

そもそも「北関東連携」って成り立っているのだろうか?

以前に茨城空港から北関東へのアクセスに重点を置け、ということを言っていた自分が今更言うのも何だが、ここ数日近県でどの様な取り上げられ方をしているのかについて調べてみたら、暗澹たる気分にさせられた。

下野新聞では幾つかヒットしたものの、開業前に訪問したら茨城のしか無かったとか、折角の旅行企画も「本数が少ないので、お客からの問い合わせはほとんどない」「成田発に比べると料金が高いので、お客も冷静に見ている」などと余り巧くいってないとか前評判から散々な指摘。空港へアクセスを担当する筈のバス会社も「県民の利用状況や便数を見極めながら検討する」と(福島空港で懲りたせいもあるかも知れないが)さすがに楽観的になれる返事とは言えない(だから県の方で何か営業をかける努力をしてもいいとは思うのだが。新設でなくても水戸までの便を伸ばすだけで充分だと思うし)。

群馬は更に惨憺たる状況だ。上毛新聞ではさすがに見つけられなかったし、何とか探してみたのが東京新聞地方版の記事。群馬ばかりか栃木からの不満や不安が多く並ぶ中、目に止まったのが次の一文。

群馬県については、一九九〇年代から新潟空港や新潟港を共有資産とし、関越自動車道など高速道路網を生かして新潟・長野・群馬三県を観光、産業などの連携地域とする「上信越トライネット」構想が進められている。広域連携による地域づくりには可能性こそあれ、具体化のハードルは高いようだ。


何のことは無い。茨城より前に先客がいた。

まぁ、件の「上信越トライネット」にしてさえ果たして山を越えて豪雪地帯とも言える新潟を使うってのが果たして現実的か?って疑問符があるのだけど、この「上信越トライネット」と比較しても茨城空港を軸とした「北関東連携」って現実味があるのか突っ込みどころ満載な気がしてしまう。そもそも、栃木と群馬は埼玉から道路や鉄道が伸びていて、それを利用した人やモノの流れが多かったりする。俄然、生活実態からしても結びつきが強いのに、埼玉を外して茨城を結びつけても無理矢理やっている印象が強い。

群馬とか栃木(更には埼玉)と結びつきが強いのは県内でも古河や下館・筑西などの県西部であり、筑波山系を越えた県央・県北はどちらかというと(水戸藩としての名残なのか)地域的に閉じた独自性が濃い。県北や県央が先ず交流の相手とするのは常磐線や国道6号で行く東京であって、あとは常磐地域が福島のいわき地方と交流がある程度だったりする。県南とか鹿行になると千葉の方が身近で、むしろ「北関東」という形容が合うのかが疑わしい。

地域間交流が進み広域連携へと向かうのは時代の流れからして当然なのかも知れないが、少し前の「平成の大合併」の様な数合わせ的な無理矢理感が否めない。大前研一が、軍民共用の空港という利点を活かして空港としての目的・位置づけを明確にして欲しかったと言及していたが、そもそも茨城という地域の位置づけすら実のところ(茨城県)自身が余り定義できていないって気がしてしまい、それが茨城空港に現れていると自分は思うのだが。



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2010/03/10

いつまでも「常陽銀まかせ」で良いのか?

今開催中の3月県議会で青山大人議員が「茨城県が海外事務所を単独で運営する意味があるのか?」と質していたとか。上海にある事務所は常陽銀行に間借りしているのだから、常陽銀に任せればいいのではないか、という趣旨らしい。だが、それは如何なものだろうか?そもそも銀行の様にある程度はリスクを抑え確実なものを取っていくのと、多少のリスクは取りながらビジネスチャンスをモノにしないとやっていけないビジネス側の現場はどうしてもズレがあるし、幾ら「産業大県」とは言えその覆う久野部分が東京や大阪の大資本による"支店経済"だったりする中で地場の有力企業相手に安定してやって来た常陽銀行がそうしたやり手と伍していけるのか疑問に思うところがある。何より県内で他の金融機関に圧倒的な差をつけている金融機関に経済調査とか営業とかを依存してしまうことで、却って特定企業への癒着が問題にならないのかという懸念もある。

相対する橋本知事の姿勢もいただけない。ホーチミンとかが有望なら事務所を開設してみては?という青山氏の質問に「全く考えていない」と答えている。ものは試しにググってみたが、福井県は香港に、福岡県はバンコクに、という具合に既に他県では東南アジアへの足がかりを着々と進めているとこさえある。ましてや、茨城空港にLCCを就航させると息巻いていた(?)知事だが、そのLCCの本拠としている東南アジアへ県が主体的に営業しないというのは余りに鷹揚に過ぎるを超えて殿様商売をしているとしか思えない。

折も折、毎日新聞が開港直前に『ねじれた離陸・展望乱れる茨城空港』と3回連続のルポを連載していたけど、特にこの中で官とか民とかを問わず営業力の弱さというより地元の独善性が目立っているということを感じずにいられない。空港をめぐる3つのズレをルポで指摘していたけど、ハコモノは作った・イイものはある・あとはやって来た客がやれとばかりに顧客満足より自己満足になっているという点で通底しているのがある。これだからこそ、(数年前の朝日新聞の県版投稿で載った様に)他所からの客に暴言を吐いても悪びれもせず、挙句には旅行代理店の調査で魅力が最も無い県の烙印を押されてしまっている。それでも、関係者は全く自覚もしていないし、危機感も持っていない。


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2010/03/01

「極論」で済まられることではない茨城空港(=百里基地)への米軍移駐

自民党の狩野岳也県議が(「極論」と断っているが)茨城空港が空いているなら米軍に来て貰えという提案をしていたのだとか。

以前に県庁の担当者から話を聞いた時、基地を拡張するなら序でに民間との共用化という感慨を抱いた(その時一緒に聞いていた方・・・というよりその方に自分がついて行ったのだが、その方との遣り取りがここにある)だけに、よく反対派(というか以前から運動していた基地反対派)が主張している「空港設置にかこつけた基地拡張」というのが何か説得力ある様に思っていた。その後開港が間近になって来ると、2chなどから「いっそのこと米軍を移せば良いんじゃない」とか言う書き込みがあったので、それを実行したら地元は猛反発だよなぁ・・・と思っていたのだが。

とは言うものの、この意見には地元は兎も角、全国的には案外支持されるのではないかと思ってしまう。何しろ普天間基地を辺野古沖に移設という計画がポシャった訳で、それでも何処かで米軍基地を引き受けるとなればそれこそ殆ど使用されていない空港とかを使え、というのは納税者にとっては納得できるのではないか(米軍が駐屯することの是非はさて置いて)。

ちなみに、その空港の地元・小美玉市で市会議員をしている福島ヤヨヒ氏が、新年の賀詞交換会で「挨拶の内容は茨城空港に期待する言葉ばかり」で寒々しいと思ったと言及していた。自分には、そこまでして希望的希望に縋り付く地元にはむしろ哀れさを感じるし、むしろ危機感も問題意識も無く糠喜びしている県庁やその周辺の有力者・更にはそれに乗って礼賛一辺倒の言説を弄ぶ面々の方にこそ寒々しさを感じるのだが。


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2010/02/28

しょぼい東京行きのバスに金を出すなら、北関東道への高速バスを誘致する努力を

茨城空港だが、スカイマークが4月16日から神戸便を飛ばすと発表した途端に、今まで肩身の狭い思い(?)をしてきた空港推進派が急にお盛んになっているそうだ。まぁ、余り期待されていなかった中でようやく待望の定期便だから、狂喜乱舞するのも当たり前かも知れないが、それへの対応策が余りにも期待外れ。

確かに空港に定期便はやって来るが、そこからのバスの便はローカル便で水戸へ5便石岡へ2便・あと東京へシャトルバスが2便くらい。幾ら便数が少ないとは言え、これはさすがに貧弱に過ぎる。往々にして想定域とされている筈の茨城や栃木・群馬に向かう場合だと空港でレンタカーを借りるかローカルバスに揺られて水戸へ出る以外に便がなく、今まで羽田から連絡バスや鉄道を使っていた乗客が単純に乗り換えるかは微妙なところ。東京へはシャトルバスが(空港利用者に限り)往復1000円で走るらしいが、常磐高速バスですら渋滞のネックで定時性が確保し難いのにそのリスクを冒してまで茨城経由で東京へ、とは常識的には考え難い。
県は新年度予算で7億5000万円を就航促進に回し、それを東京へのシャトルバスの補助に充てる方針だが、それなら北関東道を経由して宇都宮や日光・鬼怒川へ向かう水戸発着の高速バスを空港に延伸するのに使った方が賢明ではないのか?宇都宮~水戸便だけでも日に5往復、しかも水戸からの延伸分だけ料金を1000円上乗せしても、現行の羽田~宇都宮便よりは運賃が安く済むだけ競争力はあると推察するが。

推進派のブログとか発言を見ていると、「茨城~神戸で5800円は安い!」というのに釣られているのが目立つ。その料金で乗れるのは21日前までの予約に限られ、その様なことが出来るのは時間的に余裕のある乗客や修学旅行などの団体客くらいしかいない。せいぜいビジネス客だと10日前か7日前だったりする訳で、それだとせいぜい1000円程度の若干割安というくらいにしかならない。尤も幸いなことに(?)、現時点では21日前の予約が埋まっている好調ぶりだが、何かバーゲンセールに群がってみたものの期待通りのが無かったからそれっきり、という嫌な予感がするのは相当な僻目なのだろうか。


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